普段はほとんど会わない兄弟と何度も話し合い、相続財産も分けあって、相続税も納め終わりました。
「やっと相続が終わったー!(´∀`)」と思ったら、新たな財産が出てきてしまい…
こんなとき、どうしたらいいと思いますか?
また、こんな風に困らなくていいように、対策法を考えます。
遺産分割協議は最初からやり直さなければならないのか?
まず考えるのは、「またあの面倒な作業をやらなければならないのか…」ということではないですか?
それは、新たに出てきた相続財産が、どの程度のものかによって、対応が違ってきます。
①やり直しの必要がない場合
『新たな相続財産』が『遺産分割協議を済ませた相続財産』と関連がなく、
すでに済んだ遺産分割協議を、覆すほどのものではないときは、やり直しの必要はありません。
『新たな相続財産』について、相続人たちがあらためて話し合い、新たな相続財産の分割方法のみを決めれば良いことになります。
また、相続人全員が合意しているならば、初めから遺産分割協議をやり直すこともできます。
②やり直しができない場合
やり直しができない場合もあります。
初めにわかっていた相続財産について、相続人全員で仲良く分けることができず、
『調停や審判で遺産分割していた』ときは、基本的に遺産分割のやり直しは、できません。
③やり直す必要がある場合
遺産分割をやり直す必要がある場合は、以下のようなときです。
- 遺産分割に(知らされていないなどの理由で)参加していない相続人がいた
- 新たに出てきた財産が、他の相続人によって隠匿されたものだった
- その財産の価値が、遺産全体の価値のバランスを変えてしまうほど大きいものだった
たとえば、『新たな相続財産』が、かなり高額なもので、
その財産があれば
(すでに済んでしまった)
遺産分割協議の内容には
しなかったのに!
というような場合には、やり直す必要があります。
いつまでにやり直せばいいのか?
遺産分割協議をやり直すことになった場合、遺産分割はいつまでに終えればいいのでしょうか?
実は、遺産分割協議には、『いついつまでに終わらせてください』といった時効がありません。
ただし、詐欺や強迫があったとして、取り消しを求める場合には、5年間の時効があります。
また、相続税の納付期限は相続が始まってから10ヵ月なので、それまでに遺産分割協議を終わらせなくてはなりません。
相続税はどうなる?
遺産分割協議をやり直した場合、税法上は新たな財産の移転となります。
つまり、遺産分割を一度行うと、相続は確定したということになります。
やり直しをするということは、いったん確定した状態から、無償で財産をあげることになってしまいます。
遺産分割のやり直しは、相続ではなく『贈与』とみなされてしまうのです。
したがって、相続税ではなく、贈与税が課税されます。
贈与税は相続税より高額なうえ、また協議をはじめから行うとなると、たいへんな労力がかかります。
必要のない遺産分割協議のやり直しは、おすすめしません。
なお、対価を貰った場合は所得税の対象になります。
対策として
遺産分割協議が終わったあとに財産が見つかると、その度に遺産分割協議をする必要があり、税金の申告義務が生じます。
その際に、また戸籍を集めて、財産目録をつくって…と、多くの書類の準備をするのも大変ですよね。
こんな問題を避けるために、あらかじめ最初につくる遺産分割協議書に、「新たに出てきた財産を誰に与えるか」といった内容を記しておくことも可能です。
また、後から不明な財産が出てくることのないよう、相続財産の洗い出しをきちんと行うこと。
それには被相続人の生前のご協力が必要なように思います。
元気なうちから、エンディングノートなどをつけて財産の整理を行ったり、遺言書を準備しておくのも対策になります。