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公正証書遺言と自筆証書遺言

遺言書には、いくつか種類があることをご存じですか?

その中でも、よく使われるのは『公正証書遺言』『自筆証書遺言』でしょう。

ここで、遺言書と言いますと、たとえば、

お母さんが亡くなって、遺品整理をしていたところ、仏壇の引き出しの中から手書きの遺書が・・・

・・・みたいなものを想像するかと思いますが、これは『自筆証書遺言』にあたります。

では、どんな特徴のものが『自筆証書遺言』になるのでしょうか?

『公正証書遺言』と、最近始まった『自筆証書遺言書保管制度』と合わせて、見ていきましょう!

それぞれの特徴は

『公正証書遺言』と『自筆証書遺言』、それぞれの特徴をかんたんにまとめてみました。

遺言書の種類には、上記のほかに、『秘密証書遺言』というものもあるのですが、あまり使われないのでこのページでは割愛しています。

①作成方法の違い

作り方の違いは、「自分で書くか?他人が書くか?」というところです。

『公正証書遺言』は、遺言書を作りたい方が「こんな遺言にしたいです」という内容を公証人に伝え、何度か打合せをしたのち、公証人が遺言書を作ります。

遺言書を作る際には、基本的に、公証役場というところまで行く必要があり、証人が2人必要です。(→どの公証役場に行けばいい?)

一方、『自筆証書遺言』は、その名のとおり自筆(手書き)で書くものですから、自宅でもどこでも書けますし、証人も必要ありません。

②保管方法の違い

保管方法の違いは、「公証役場に保管するか否か」です。

『公正証書遺言』は、作った遺言書の原本を公証役場に保管します。

相続がはじまったら、相続人や受遺者などの利害関係のある方は、公証役場に遺言書が保管されているか検索をかけたり、遺言書の写し(謄本)を請求することができます。

遺言書を作った方がご存命のあいだは、『検索』や『謄本請求』は、ご本人しかできません。

『自筆証書遺言』は、基本的には「自宅」や「信頼のおける場所」など、保管場所は自由に決められます。

ただし、最近はじまった『自筆証書遺言書保管制度』を利用すれば、遺言書の原本と画像データを公証役場で保管することができます。

③検認の有無

「検認をするかしないか」という違いもあります。

『検認』というのは、ざっくりいうと、「遺言書の内容はこんなだよ」ということを確認することです。

何しろ、紙に書かれた文書ですから、相続人のうちの誰かが、自分に都合のいいように一筆書き加えたりしちゃう・・・なんてことがあるかもしれません。

そんなことが起こらないように、遺言書を見つけたら封をしたまま家庭裁判所へ持っていき、第三者である裁判官のもとでその内容をオープンにする必要があるのです。

検認の必要があるのは『自筆証書遺言』の場合で、『公正証書遺言』は、公証役場に遺言書が保管されていますので、そういった書き換えなんかのおそれはありません。

また、『自筆証書遺言』でも、公証役場の保管制度を利用している場合は、『公正証書遺言』と同じように、検認の必要はありません。

それぞれのメリットとデメリット

①公正証書遺言について

まず、『公正証書遺言』のメリットについて説明します。

  • 形式不備で無効になるリスクが低い
  • 字が書けない状態でも作れる
  • 自宅や病院などでも作れる
  • 偽造や紛失の恐れがない
  • 検認の必要がない
  • 意思能力の争いが起きにくい

『公正証書遺言』を作るときというのは、公証人と打ち合わせをし、公証人が遺言書をまとめますので、遺言書の形式の不備は考えられません。

遺言書を作る際に、意思能力の確認も行うので、争いは起きにくいでしょう。

『意思能力』とは、ちゃんと遺言の内容を理解し、その遺言の結果として、どんな効力が発生するかわかる力です。

また、字が書けない方でも、遺言内容をお話しすることができれば、公証人がまとめてくれます。

基本的には、公証役場に行って遺言書を作るのですが、『出張制度』を利用すれば、公証人や証人に自宅や病院などに来てもらい、遺言書を作ることができます。

足腰の弱っているような方でも、『公正証書遺言』を作れるということです。

また、遺言書の原本を公証役場で保管しますので、偽造や変造の心配はありません。

したがって、検認の必要もありません。

次に『公正証書遺言』のデメリットについて説明します。

  • 費用がかかる
  • 手間がかかる

たくさんのメリットがある『公正証書遺言』なのですが、証人を誰かにお願いするとなると、

その謝礼だったり、そもそも「信頼のおける人って誰だろう・・・」と、人選に悩んでしまいそうです。

公証役場に支払う手数料も、財産の内容によってはかなり高額になってしまいます。

公証役場に行ったり、公証人の方と打ち合わせをしたりするのも、大変です。

②自筆証書遺言について

『自筆証書遺言』のメリットは何でしょうか。

  • 費用がほとんどかからない
  • 手軽に準備できる

『自筆証書遺言』は、家で手書きで書くことができるため、費用もかからず、手軽に準備できるのが特徴です。

ただし、遺言書の書き方を専門家に指導してもらうなどすれば、当然費用がかかってきます。

『公正証書遺言』のデメリットが、
そのまま『自筆証書遺言』の
メリットになった形ですね。

デメリットはどうでしょうか。

  • 形式不備で無効になるリスクが高い
  • 字が書けないとつくれない
  • 偽造や紛失の恐れがある
  • 検認の必要がある
  • 意思能力が問われる

遺言書には、じつは法律で決められた書き方があります。

やはり自分で書く、いわば『手作り』の遺言書ですから、「決まった形式で書かれていなかった」というパターンも考えられます。

そうなると、せっかく準備した遺言書が役に立たなくなってしまう・・・なんてことが起こってしまうかもしれません。

また、遺言書は本人が準備するということが大切ですので、自筆で書く必要があります。

一部、パソコン等でプリントアウトしたものでも可能な箇所はあるのですが、自筆で書かなければならない部分は割と多いです。

したがって、字がかけない状態の方には厳しい条件になってきます。

それから、自宅などで書いて手軽に保管できるところが最大の魅力の『自筆証書遺言』なのですが、

それがために、他の方が遺言書を発見した場合、勝手に封を開けてしまったり、文章を書き換えたりしてしまう恐れが生じてしまいます。

そのため、検認の必要があります。

検認は、家庭裁判所で行い、相応の手続きがありますので、これも面倒です。

また、親族の仲がよろしくなければ、「遺言書を書いたとき、ほんとうに意思能力はあったのか?」と争いが起きるのは、よくあることです。

『保管制度』は、いいとこ取り!

では、いったい、『公正証書遺言』『自筆証書遺言』、どっちで遺言書をかいたらいいの?

・・・と、悩んでしまいますよね。

行政書士
行政書士

『自筆証書遺言書保管制度』
を利用するといいかも
しれません!

『自筆証書遺言書保管制度』は、『公正証書遺言』のメリットである

  • 偽造や紛失の恐れがない
  • 検認の必要がない

という点と、

『自筆証書遺言』のメリットである

  • 費用がほとんどかからない
  • 手軽に準備できる

という点を合わせた、まさに『いいとこ取り』の制度と言えます。

『自筆証書遺言』を公証役場に預けるという性質から、残念ながら、『形式不備の可能性』『意思能力を問われる可能性』は免れません

また、代筆ができないため、字が書けない状態の方が利用するのは難しいと言わざるを得ません。

しかしながら、多くのメリットのある『自筆証書遺言書保管制度』は、利用する価値が大きいと言えます。

できたての制度で、利用する方は少ないですが、これからどんどん増えていくと思います。

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